葉山jr. -4396展-ご挨拶

No.96さんのブログをご覧の皆様、初めまして。
この度No.96さんと合同展という形で展示会をさせていただきます、葉山Jr.(ヨウザンジュニア)と申します。

No.96さんのブログ見にきたのにお前誰やねん!となられてたら申し訳ないのですが、No.96さんの前回のブログを受けて、私も残しておきたいと思うことがあり、文章を書かせていただくことになりました。
人から見たら長くポエムのようなエッセイのような、私目線の文章ではありますが、もしお時間がよろしければ読んでいただけたらありがたいです。



はじめに、今回の展示をご予約いただいている皆様、応援してくださっている皆様、本当にありがとうございます。
改めて自己紹介をさせていただきますと、私は関西を中心にフォトグラファーと、そしてグラフィックデザイナーとして活動しております葉山Jr.(ヨウザンジュニア)という者です。
読みづらい名前ですが、もし覚えてもらえたら嬉しいです。

No.96さんとの最初の出会いは、カメラを始めた頃に練習に付き合ってくれた友人のモデルさんが着用していたモンスターイヤー。
ひと目惚れして「どこで手に入るの?」「誰が作ってるの?」と聞いて、当時No.96さんが卸していたお店に足を運んだことでした。
その時は展示用見本しか無く諦めて帰ろうとした折に、本当に偶然、悪魔の姿ではないNo.96さんが来店されていてご挨拶をしたのが始まりでした。

その後なかなかイベントに足を運べず、私が彼女の作品を自分のもとへお迎えできたのはそれから2年ほど経った後のことでした。
それからさらに約2年、商材撮影やイベント撮影に呼んでいただいたり、写真集の編集に携わらせていただくなど何度かお仕事を一緒にさせていただく中で、改めてNo.96さんという人物に惹かれていったという経緯があります。


そして今年、未曾有の災害のような感染症が世界を覆って、私の生活も一変しました。
仕事柄テレワークになったのもあり一人の時間が増え、外に出ない日々の中で様々なことに向き合う時間が増えていきました。
自分にも他人にも向き合えば向き合うほど目を背けたいことばかりで、だんだん塞ぎ込んでいきました。
自分という人間とさえ上手く関われず、自分が何者かわからないような数ヶ月が過ぎていきました。

そんな折、別件のお仕事の話でNo.96さんとお会いして、お互いの自粛期間ひいては約一年ほどに起きた色々なことを話しました。

実のところこの段階で私は11月に展示場所をお借りしているにも関わらず、元々やろうと思っていた内容が(上半期のコロナ禍で)出来なくなっていたこと、自分という生き物が低迷していて、こんな状態で人に届けるような作品作りができるのかと、毎日眠れないほど悩んでいました。
そこでの会話の中で展示の話題になり、ありがたいことに合同展という形で「4396展」をさせていただくことになったのでした。
思い切って「時間がないけど、ちゃんと96さんを今回のために撮りたいです。」とお伝えしたら、No.96さんは二つ返事で「良いですよ、やりましょう!!」と応えてくださりました。


テーマとしての偶像的な悪魔ではなく、No.96さんの命に根付く悪魔という象徴の意味を、知りました。
作品や撮影に向き合うスタンスも全然違ったので、それに関してもじっくりディスカッションをしました。

それから先の2週間と特に撮影当日は、今まで逃げてきた自分との戦いでした。
自分に足りないものや欠けているものにも向き合って反省したり落ち込んだりもたくさんしました。
当日、久々に握るカメラのグリップは凄く冷たくて、ファインダーの向こうの手の届かないような世界はブラーをかけたような状態で、押し込むシャッターがひどく硬く感じました。

尊敬する人を撮らせてもらう緊張も重なって空回りして、不甲斐なくて心が潰れそうになった瞬間がありましたが、それを思い切ってお伝えしたとき、96さんは責めることも適当に励ますこともなく「どうしたら納得がいきますか?」と何度も向き合ってくれました。
No.96さんの目がこちらを向いている時、私は逃げてはいけないし逃げたくないんだと改めて腹を括った瞬間でした。

もう見上げるばかりではいけない、一緒に作品を作る時は同じ高さで同じ景色を見るんだ、という想いが固まって、そうしたらボヤボヤしていたその向こう側の世界に私がきちんと存在していることが見えてきました。



ご本人も書かれていたように、No.96さんと私はかなりタイプの違う生き物で、それは「生きてきた環境が違うから」というシンプルなことでは無く、同じような経験をしても感じ方が違ったり向き合い方が違うような、根源的な差を感じました。

私にはNo.96さんの想いは「ただ共感する」「ただ理解できない」というものでは無く、「凄く気持ちが分かるのに、自分と違う答えをたくさん持っているんだな」というのが素直な気持ちでした。

今回の作品ではモノトーン以外に赤と緑、それぞれのテーマカラーのような色を選びましたが、これは偶然か必然かほぼ「補色」でした。
No.96さんという人物と、葉山Jr.という人物を色として見た時、お互いをじっと見たあとに目を閉じると私たちは心理補色になることを、出来上がった写真を見て強く感じました。


私の過去の作品を知っていてくれる人や、今回私のことを知って過去作を見てくださった方にはきっと
「あれ?なんか芸風違うな?」「今までと違うな?」と感じられることの多い作品に仕上がったと思います。

それは、頭の中にある夢想や空想も私の一部ではありますが、今回の作品はある種のドキュメンタリーであるからだと思います。


ひとり鏡に向き合った時、鏡に写っているのは、誰ですか?

誰かと向き合った時、相手の瞳に写っているのは、誰ですか?


人はナニカと向き合う時、それが自分であれ他人であれ、必ず鏡のようなものと向き合っています。

No.96というひとりの悪魔でありひとりの人間である偉大な方から、森の中を彷徨っていた迷子の私が受け取ったもの。
写真と編集という私の持っているすべての表現手段を用いて作品に落とし込みました。


このご時世ですのでもちろんなんとしてもなどとはとても言えませんが、是非今回の作品を多くの人に見てもらえたら嬉しいなと思っています。

人様の大切な棲家で、大きな声(?)で長々と失礼いたしました。
どうぞ、4396展をよろしくお願いいたします。

葉山jr.

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